在日本朝鮮人文学芸術家同盟

京都中高吹奏楽部が初出場で金賞/第47回関西アンサンブルコンテスト

《t朝鮮新報》2021.02.19

京都中高吹奏楽部が11日、京都コンサートホール(京都市)で行われた第47回関西アンサンブルコンテスト(主催=関西吹奏楽連盟、朝日新聞社など)高等学校の部で金賞を受賞した。同部の関西大会出場および金賞受賞は創部64年目で史上初。大会に出場した生徒たち、顧問の李相大教員に話を聞いた。

アンサンブルコンクールに出場した児童・生徒たち

同部は今年1月5日に行われた第53回京都府アンサンブルコンテストで金賞を受賞し、府代表として初選出された。

関西大会には李昂気さん(高3)、呉廷陽さん(高1)、金遼宇さん(中3)、田美友さん(中2)、韓亜星さん(中1)の五人が出場。打楽器5重奏「マリンバ・コンチェルティーノ “The WAVE” ~ソロ・マリンバと4人の打楽器奏者のための~」を演奏した。

「演奏を終えて、今までになく気分がよかった」「すごく楽しかった」

同部史上初の快挙を成し遂げた5人は、当日の演奏を振り返りながら各々すがすがしい様子で達成感を語った。

今年度、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により通常通り部活動が行えるようになったのは昨年6月から。メンバーたちは練習時間が制限される中でも、ひたむきに練習を重ねてきた。今回の大会出場にあたっては、多くの有志から楽器レンタルの協力を受けたほか、日本人講師からの指導も受けながら準備を進めてきた。

呉廷陽さんは「一人ひとりが課題を乗り越え、皆で一つの曲を完成させるという明確な目標のもとで最後まであきらめずに努力した。その結果が金賞に繋がったと思う」と話す。普段はコントラバスの担当だという呉さんだが、今大会ではパーカッションに挑戦した。「不安だったけれど、皆がたくさん力を添えてくれた。一緒に出場したメンバーはもちろん、先生たちや裏方に回ってくれた吹奏楽部のメンバーたちのたくさんのサポートがあっての金賞。それを忘れずに、この期間学んだことを今後も生かしていきたい」(呉さん)。

一方、3年間パーカッション一筋で練習に励んできた金遼宇さんは「3年目にしてやっと関西大会に出場できた。今まで府代表選出の壁を超えられなくて悔しい思いをしてきた分、自分の成長を感じられて一層うれしい」と喜んだ。

同部は2016年度、18年度、19年度の府大会でも審査員全員が最高評価をつける「オールA」での金賞を受賞してきた。今回、初めて府代表として選出されて臨んだ関西大会で金賞を受賞し、喜びもひとしおだった。来年度から同部のパーカッションパートリーダーとなる金さんは「これまでの経験を活かして、信頼される責任者になりたい」と抱負を語った。

一方、関西大会の金賞受賞団体の中から選出される3月の「全国大会」出場権は他校が手にすることに。生徒たちは金賞受賞の喜びともに「全国大会」出場を逃がした悔しさもにじませた。

田美友さんは「金賞と聞いてとてもうれしかったけれど、やっぱり『全国大会』に行きたかった。この気持ちを忘れたくない。今回、ひとつひとつの練習の積み重ねの大切さを改めて噛み締めた。来年度には中3にもなるので、基礎からもういちどしっかり見直して練習に励みたい」と話した。

「来年度の大会でも金賞を受賞して、次は必ず、全国大会に行きたい」と意気込んだのは最年少の韓亜星さん。初級部までサッカー部に所属していた。楽器と出会って約半年、「正直、練習は大変で、途中で何度もやめたくなった。でも、最後まで一生懸命練習した」という。練習を積み重ねる過程で難しい演奏の中から楽しさを見つけられたこと、そして練習の成果を金賞という形に残せたことが今後のモチベーションにもつながったという。

ウリハッキョに感謝

パートリーダーでソロマリンバを担当した最高学年の李昂気さんは金賞受賞のよろこびを語りながら、「無事に終わってホッとしている」と心境を述べた。他の同級生たちは年末に部活を引退して卒業の準備に取り掛かっていたこともあり、精神的につらいことも少なくなかったという。今年度の部活動を振り返り、「大会や対外公演が軒並み中止になるなどして、モチベーションを保つのも大変だった。でも、今回の金賞で報われた」と話した。

昨年末に行われた定期演奏会のようす

顧問の李相大教員によると、同部の生徒たちはコロナ禍の中でも自ら創造性を発揮して、創部64年の歴史をテーマにプロモーションビデオを作るなど今までにない新たなチャレンジをし続けた。昨年末には趣向を凝らした定期演奏会も実施した。

李教員は「子どもたちは毎日一生懸命努力して、技術面でも演奏の姿勢面でも日々、成長を見せてくれた。今回の金賞受賞も、部活だけでなく学校生活においても、どの集団よりも一番になれるよう励んできたことに要因があると思う」と話す。

昨年末に行われた定期演奏会のようす

そんな生徒たちの活躍を地域の同胞たちも喜んだ。総聯南山城支部では、アンサンブルコンテスト出場メンバーがリモート新年会に出演する機会を設けた。

同支部出身だという李昂気さんは、「支部で素晴らしい機会をくださってうれしかった。私たちが部活をできるのも同胞たちがいてこそ。そんな地域同胞たちに演奏を通じて感謝の気持ちを伝えられてよかった」と話した。

「中高6年間、吹奏楽部に所属して楽器と触れ合う中で、音楽が自分の毎日をより豊かに変えてくれた」という李さんは卒業後、演奏家を目指すという。「後輩たちにウリハッキョの可能性を示せる人になりたい。自分の人生の道しるべとなってくれたウリハッキョに感謝している」(李さん)。

(李鳳仁)

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