在日本朝鮮人文学芸術家同盟

作品に宿る子どもたちの心/大阪学区美術特別展2020

《朝鮮新報》2020.11.01

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875点が展示

大阪学区美術特別展2020が開催された(10月21~25日)

大阪学区美術特別展2020(主催=同実行委)が10月21日から25日まで、大阪府の東大阪市民美術センターで開催された。

特別展では大阪中高、中大阪初級、北大阪初級、生野初級、東大阪初級、大阪第4初級、城北初級、南大阪初級、大阪福島初級、和歌山初中、奈良朝鮮幼稚班を中心に大阪学区11校の園児・児童、生徒たちによる作品794点、大阪中高をはじめとした各地の朝鮮学校美術部部員らが制作した作品など総875点が展示された。

特別展では875点の作品が展示された

毎年、日本各地の朝鮮学校に通う園児・児童、生徒たちから寄せられた美術作品を展示する在日朝鮮学生美術展(学美、主催=同実行委)が開催されてきた。日本各地11カ所を巡回しながら昨年に48回展を迎えた学美は今年、新型コロナウイルスの影響で中止となった。

芸術活動の分野にも大きな影響が及ぶなかで、大阪府下の朝鮮学校の美術部教員らは、子どもたちの個性や内面世界が反映された作品を発信し、表現活動を後押しする場を設けるための模索を続け、今回の特別展開催に至った。

従来の学美では各地の朝鮮学校から1万点を超える作品が寄せられ、地方、中央審査を経て、入賞・入選作品が展示される。特別展では美術部生徒らの作品に加えて、大阪学区の園児から初級部児童、中高級部生徒(高級部は選択科目で美術の授業を受けている生徒のみ)まで、794人の子どもたちが図工や美術の授業で制作した作品が1点ずつ展示された。

特別展では875点の作品が展示された

会期中、来場者は1456人に及んだ。最終日には大阪中高美術部生徒たちによる作品プレゼンが行われた。また感染症対策によるライブ配信も同時に行われ、来場者たちの注目を集めた。

大阪中高の玄明淑教員は「新型コロナ感染拡大をはじめ、2020年という特殊な年に子どもたちが何を思い、感じたのか、日常生活での喜怒哀楽や悩み、葛藤などが作品の一つひとつに込められている」と話す。作品には、休校措置やスポーツ大会、芸術発表会の中止などコロナ禍のなかで子どもたちの心に宿ったそれぞれの内面世界が現れているという。そのなかには、高校無償化問題をはじめとする在日朝鮮人への差別問題を扱ったものも多かった。

一方、特別展ならではの光景も広がった。従来の学美では、審査で入選しなければ自身の作品を観覧することはできないが、今回は大阪学区内すべての児童・生徒らが制作した作品が展示されているため、「自分の作品をはじめ、きょうだいや部活の先輩、後輩の作品を探す楽しみが広がった」(玄教員)。

玄教員は「これからも創意工夫を凝らしながら、生徒たちの情緒や表現の欲望を引き出し、子どもたちの表現活動を発信できる環境を築いていきたい」と話した。

学美をWEBで開催

今年は惜しくも開催中止となった学美だが、現在、各地の中高美術部の生徒たちがキャンバスのF10号サイズ以内に規格統一し制作した作品を展示した「全国美術部10号巡回展」が大阪を皮切りに開催されている。今後、東京、愛知、神戸、福岡、千葉と順次、巡回する予定だ。

また、学美実行委では今年度限りの特別企画として朝鮮学校に通う子どもたちの作品を審査なく展示する「2020在日朝鮮学生美術展WEB展覧会」(12月下旬より公開)、各地の中高美術部が独自で開催する「全国美術部テーマ別WEB展覧会」(11月初旬より公開)を予定している。

(全基一)

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