在日本朝鮮人文学芸術家同盟

魅力ある朝鮮舞踊の世界へ案内/連続講座「朝鮮の大衆文化をひも解く」第2回

魅力ある朝鮮舞踊の世界へ案内/連続講座「朝鮮の大衆文化をひも解く」第2回

《朝鮮新報》2021.09.28

講師に朴貞順さん

連続講座「朝鮮民主主義人民共和国の大衆文化をひも解く」の第2回が9月25日、朝鮮大学校を本会場にして行われ、講師の朴貞順さんが朝鮮民主主義人民共和国の舞踊の歴史と特徴について解説。1945年の祖国解放後から現在に至るまでの発展過程を時代ごとの貴重な映像を交え、そして時には実演してみせながら、オンラインを含めて約80人の参加者たちを魅力ある朝鮮舞踊の世界へと案内した。

舞踊をテーマにした連続講座第2回のようす

朴貞順さんは、朝鮮民主主義人民共和国教授、芸術学博士、功勲芸術家、前朝鮮大学校教育学部学部長であり、現在、朝鮮大学校非常勤講師、舞踊教育研究室室長として活躍しており、本紙に「民族教育と朝鮮舞踊」を連載している。

講座では朝鮮の舞踊史を6つの時代に区分してその特徴について説明した。

解放後(1945年8月〜1950年6月)は優れた民族舞踊遺産を継承発展させることなどを方向性とし、「舞踊研究所」(46年9月設立)の崔承喜所長の活動と作品に触れた。

祖国解放戦争時期(〜1953年7月)は戦争勝利に貢献する舞踊芸術に発展し、戦後復旧および社会主義基礎建設時期(〜1961年9月)は社会主義写実主義に則り、朝鮮民族の気質と情緒に合わせて発展させていく方針のもとで発展し、社会主義全面的建設期(〜1970年10月)は大作に偏らず、小さな内容を用いて奥深い思想を表現するソプム(小品)の創作に力が入れられたことについて述べた。

社会主義勝利を繰り上げるための闘争期(〜2011年12月)は金正日総書記の指導のもと舞踊芸術における全盛期を迎え、5大革命歌劇、3大革命演劇、4大名作舞踊などが創作された一方、民俗舞踊を発掘し現代の美感に合わせて発展させることにも注力し、民族歌劇「春香伝」(88年)、舞踊組曲「季節の歌」(92年)が創作され、1955年に創作された崔承喜の代表作である舞踊劇「沙道城の物語」が再演(2011年)されたことを紹介した。

さらに、金正恩時代に入り社会主義文明国家建設が推し進められる中で、時代と現実を反映した「時代の名作」が創作されていると述べた。

朴貞順さんは、舞踊史を振り返ったうえで、朝鮮の舞踊の特徴を5つにまとめた。①古くから朝鮮半島の人々に愛されてきた優れた民族舞踊で、優雅で柔らかく繊細で、また力強く楽天的な特徴を持っており、②時代の要求と人民大衆の嗜好・情緒に合わせてウリ式に創作、形象しており、③民族舞踊遺産を発掘保存し、民族的なものを現代的美感に沿って継承発展させており、④舞踊ソプムを基本に多様な舞踊形式を常に創造しており、⑤舞踊の大衆化が定着し、生活の中で多様な舞踊が踊られていることだ。

朴貞順さんは、特徴④の中で、「舞踊劇、音楽舞踊叙事詩、音楽舞踊物語、歌舞など様々な形式が創造され、バレエやダンスなどの他国の舞踊も取り入れているのも特徴。だが、2000年代から創作された『アリラン』『輝く祖国』などの大マスゲームと芸術公演は、世界で唯一のジャンルの芸術作品だ」と強調した。

また、特徴⑤の中で、2017年から完全施行されている12年制義務教育によって新たに「音楽舞踊」科目が設置されたことを明らかにし、「子どもたちは舞踊を選択科目や課外ではなく教科として習っている。みんな踊りがうまいわけだ」と述べた。

朴貞順さんは「世界には優れたいろいろな舞踊があるが、朝鮮舞踊は世界に類のない素晴らしい舞踊だ。このような朝鮮舞踊を日本で在日同胞の3世、4世が習い踊っている。とても誇らしく思う」とし、講演を締めくくった。

講演後に質疑応答の時間が設けられ、オンライン参加者から数々の質問が寄せられた。

朝鮮の大衆文化を学ぶこの連続講座は、朝鮮大学校朝鮮問題研究センター朝鮮文化研究室と科研費基盤(B)「文化としての社会主義:北東アジアとDPRK」の共催によるもので、7月24日に開講した。第1回は、尹伊桑音楽研究所(平壌)副所長、前在日本朝鮮文学芸術家同盟中央音楽部長の李喆雨さんを講師に招いて、朝鮮の音楽をテーマに行われた。

次回の第3回は、「朝鮮の食」をテーマに11月20日に開催される予定だ。

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