在日本朝鮮人文学芸術家同盟

「クリム(丘林)展2023」

「クリム(丘林)展2023」

《朝鮮新報》2023年12月31日

24人の在日朝鮮人美術家、愛好家たちによる絵画など56作品が集う「クリム(丘林)展2023」(11~17日、ギャラリーくぼた本館、主催=実行委員会)は、在日朝鮮人美術の現在地を垣間見るような展示会となった。

「クリム(丘林)展2023」が11~17日、ギャラリーくぼた本館で行われた。

「まぁ、懐かしい」。会場を訪れた同胞らの第一声だ。感嘆の声を漏らす先には油彩画「万景峰号初入港」(作:姜青)が展示されていた。1971年8月18日の初入港を目撃した同胞らは当時の思い出を感慨深く語っていた。

入り口から観客の心を鷲づかんだ同展には多種多様な作品が連なっていた。

例えば、水彩画「ある日の眼差し」(作:金聖蘭)のような静寂な人物画がある一方、色鉛筆画「目標確認 紅雀 つがい」(作:金英勝)のように小鳥をほぼ原寸大で描いた作品や、朝鮮画「牡丹峰」(作:高石典)のような風景画も並ぶ。

来場者たちは「どれも素晴らしく甲乙つけがたい」と感想を述べる一方、人物画の前では「この人ってもしかして○○さん?」とモデルとなった同胞についての思い出話に花を咲かせるなど同胞絵画展ならではの光景も。

和歌山から同展を訪れた総聯和歌山県本部の金尚一委員長は「民族性を固守する運動の先端を見ているようだ、同胞たちの団結力を高めるうえでも芸術の役割がものすごく大きい」と強調し、主催者たちを労った。

白京姫さん(61)は姉妹で上野にある美術館などにも通うという。白さんは「ウリハッキョの生徒や、チマ・チョゴリなど、同胞ならではの主題にトンポの息遣いを感じた」と語った。

3作品を出品した金聖蘭さん(東京第5初中美術教員)にとって同展は「制作を続けるうえでの目標」だ。そして、同胞たちの作品が並ぶ光景に「同胞作家たちの作品が並ぶので連帯感を得ることができる」とし、「在日朝鮮人美術を牽引していく『運動をしているんだ』という実感がわき、それが原動力だ」と話す。また、自分の作品に留まらず、展示会全体を考慮して制作に取り組んでいるという金さんは「毎回、みなで展示会を作っていく気持ちだ」と笑みを浮かべた。

文芸同美術部のメンバーである高石典さん(茨城初中高校長)は「同展は同胞や日本市民らに在日朝鮮人美術を紹介できる大切な場だ。新人作家たちには在日朝鮮人の美的情緒を多様な手段、画法で表現し、世界的に特色がある作品を創作してほしい」とエールを送った。

文芸同東京の金任鎬委員長は「今後も同胞作家たちが精力的に創作活動を行えるように同展を開催し続けていきたい」としながら、「美術に興味がある同胞が創作をはじめるきっかけになれば。アマチュアを育てつつ、多くの同胞作家の力で規模を拡大していきたい」と意気込んだ。

会期中、同館1階では張留美さんの個展「2023장루미展」が開催。16日にはオープニングレセプションも行われた。

(高晟州)

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