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賞はなくとも素晴らしい舞台/東日本在日朝鮮学生芸術発表会
《朝鮮新報》2020.11.10
群舞・埼玉初中
東日本在日朝鮮学生芸術発表会が5日、舞踊・声楽部門(東京朝鮮文化会館)と器楽部門(国立オリンピック記念青少年総合センター)に分かれ、それぞれ行われた。関東、東北、北海道、長野、静岡の中高級部の生徒たちが出演した。
実行委員会では、会場ごとに入場時の検温、マスク着用の奨励はもちろん、演目数を各学校2つ以内とし、観客数も制限するなど、新型コロナウイルス感染症対策を徹底。また従来のコンクールとは異なる形式で開催することから、発表会が生徒たちにとってより特別なものとなるようさまざまな趣向を凝らした。舞踊・声楽部門では、当日の司会を出演校の生徒代表が行い、器楽部門でもそれぞれの演目後、生徒代表が今年の部活動に対する感想や今後の意気込みを披露する場が設けられた。また両部門とも、発表後に舞台上で記念撮影が行われた。
舞踊・声楽部門の発表会では、舞踊23作品、声楽3作品が、器楽部門の発表会では、民族器楽14作品、吹奏楽6作品がそれぞれ披露された。
民族器楽・東京中高
ステージに立った生徒たちは、これまで磨き上げた技量を存分に発揮し、満面の笑みを浮かべていた。また彼・彼女たちを客席から見守った保護者や他校の出演者たちも、演目が終わるたび、温かな拍手を送った。
東京第5初中中級部舞踊部で主将を務める李佳娜さん(中3)の母・全琴淑さん(47)は「コロナによる休校期間、娘たちはzoomアプリを使ったり、動画を見ながら家で一生懸命練習していた」と話す。そんな子どもたちの晴れ舞台を観て全さんは「賞はないけれど、がむしゃらに頑張る気持ちがしっかり伝わった。いままでの部活動の素晴らしい締めくくりになったと思う」と笑顔をみせた。
また、東京中高高級部民族器楽部で主将を務める権咲嬉さん(高3)の母・千琴玉さん(48)は部活動を通じ成長したわが子や同校の民族器楽部のメンバーたちを思い感慨深げな様子だった。
今年同部では、咲嬉さんら高3の2人がSNSを使った宣伝など積極的な呼びかけをしたかいあって、11人の新入部員を迎え入れ発表会に臨んだ。
吹奏楽・神奈川中高
合奏曲として選んだ「チェンガンの舞」は、チャンセナプやタンソ、チョッテなど管楽器がメインの旋律を奏でる曲。そんななか、発表会を目前にチャンセナプを担当した生徒が負傷してしまった。代打を立てるべく、指導教員が高音チョッテを担当する生徒に演奏を担当するよう話すと、「これまで頑張ってきた主将に弾いてほしい」と、思いもよらぬ返事が。急遽、チュンヘグムを担当する咲嬉さんがメインの旋律を奏でる異例の抜擢となった。
当時、先輩に演奏を託した金美里さん(高2)は「本来であれば尊敬する先輩たちに金賞をプレゼントしたかった。それは叶わないから、せめてこれまで誰よりも部活のために頑張ってくれた咲嬉オンニに弾いてほしかった」と振り返った。
千さんは「子どもたちは部活動を通じて、朝鮮芸術のすばらしさに触れ、さらに今年は発表会という形式だったからこそ、思いやりの心を改めて培う経験をできたと思う。一体感が感じられる最高の舞台だった」と拍手を送った。
(文・韓賢珠、李鳳仁、写真・盧琴順)