在日本朝鮮人文学芸術家同盟

〈ウリマルの泉(우리 말의 샘) 24〉

ハングル能力検定協会の事業に参加する/最終回(한글능력검정협회사업에 참여하다)

《朝鮮新報》2022.05.18

今年、ハングル能力検定協会は、創立30周年を迎える。

1992年10月9日、長野の愛国的同胞商工人、故鄭武鎮氏によって創立されたハングル能力検定協会は、世界で最初に「ハングル(韓国・朝鮮語の総称として用いる)」の検定試験を実施した団体である。

私は、1998年から20年間、試験問題担当理事として協会の事業に関わってきた。今も、協会の相談役を務めている。

現在、「ハングル」能力検定試験は、北は北海道から南は沖縄まで日本のほとんどの都道府県で実施されており、コロナ禍の苦境の中でも、ハングル能力検定協会による「ハングル」の普及活動が絶え間なく展開されていることは喜ばしい限りである。

私が、協会との関わりを初めて持ったのは、1998年のことだ。この年に第3期の理事に就任した私は、試験問題作成担当理事として問題作成検討委員会の仕事を任された。

それまで、検定試験に関わったことがなかった私は、まず、検定試験に関する情報集めから始めた。英検や中国語など他言語の検定試験についても資料を集めて研究した。同時に「ハングル」能力検定試験に関しては、過去、第1回から第10回までどのような内容をどんな形式で出題し、どういう基準で評価していたのかなどを関係者と共に分析した。

こうして、新たに選出された試験問題作成者たちと力を合わせて、第11回「ハングル」能力検定試験(1998年秋季)の問題を作成し、無事に実施することができた。

採点後、その結果を基に内容と形式、評価基準などを再度検討し、次回の対策を立てた。

この時、貴重な助言をくださったのが、初期に協会の試験問題作成に関わられた金東俊先生だった。先生は後に、試験問題作成検討委員会の委員長として副委員長の私と共に試験問題の作成と検討に長く携われた。

協会の仕事に携わってきた25年間を振り返ると、多くのことが走馬灯のようによみがえってくる。

検定協会の命は、試験問題作成にある。これを担保できるのは、上質の試験問題を作成することができる、能力のある学者・研究者を試験問題作成者として確保、採用することである。そのために、協会の事務局の担当者と一緒に、多くの先生方とお会いした日々が懐かしい。

特に、思い出深いのは、語彙知識や文法的知識、文学的な「高度」な文章内容を問う問題に偏重していた2005年までの検定試験から、第26回(2006年春季)以降、生きたことば、実用性の高いことば、コミュニケーション能力評価への転換を図り、それに取り組んだ日々である。

私たちは、コミュニケーション能力をより正確に測ることを目標にした検定試験へと転換するため、レベルの目安と語彙、助詞・語尾、慣用句、慣用表現などの出題項目を具体化した級別出題基準の改定、評価基準の改定、出題内容と問題形式の変更、難易度の調節など多岐にわたる問題を解決するための研究と作業を重ねた。

今も、韓成求先生と所沢のココスで、夜中の2時過ぎまで級別出題基準になる「도우미トウミ」の最終原稿の作成に精を出していた時のことや、他の執筆者の方々と一緒に作業した日々が懐かしく思い出される。

理事を務めた20年間、級別出題基準や級別出題語彙、慣用句、慣用表現などをまとめた「合格도우미」や「더하기トハギ」、自習を兼ねた講座用のテキスト「배우기ぺウギ」(5級~準2級)、ワンポイントアドバイスを添えた「ハン検過去問題集」など多くの書籍の発刊に直接関わることができた。やりがいのある仕事で充実した日々を送れたことは、至福の喜びである。

これらが、現在、日本国内での「ハングル」の初・中・上級用学習資料として大いに役立っていることを、関係者の一人としてとても嬉しく思う。

私は、協会の仕事に携わることで、金東俊先生をはじめ金裕鴻先生、兼若逸之先生、油谷幸利先生、朝鮮大学校の先生方や、その他、多くの「韓国」、日本、在日の「ハングル」研究者と共に仕事をする機会を得た。この貴重な経験は、私にウリマル教育の内容と方法をより深く考えるうえで、示唆に富む知恵を授けてくれた。

30年間の地道な努力を通して、協会は言語検定試験団体としての確固とした地位を築いた。

これから壮年期を迎える協会が歩むべき道は、協会の理念を実現することにより、「ハングル」を学んでいる多くの人たちの要求と期待に応える道だと思う。

協会の設立理念は、日本で「ハングル」の普及に尽力し、南北どちらの正書法も認めること、受験者の学習成果に対する公正で正確な評価を与えること、将来南北の正書法統一に貢献できるようにすることである。

この理念の実現のため協会は、時代の変化と受験者のニーズを反映しながら、今も総力を挙げて日々絶え間ない研究と努力を重ね、より良い検定試験を目指している。

協会は、この間、幾多の困難を乗り越えて今日に至った。

何事も、熱い思いとゆるぎない信念が山をも動かす。

(朴点水 朝鮮語研究者)

한글の語源

한글(ハングル)とは、1444年1月に創製された「訓民正音」の名称で朝鮮文字のことです。한글という名称は、주시경(周時經、1876~1914)によって1913年頃から使われ始め、1927年「한글」という朝鮮語研究誌が出版された後、広く使われるようになりました。한글という言葉は、큰 글자(大きい文字)、으뜸가는 글자(一番の文字)、하나밖에 없는 글자(唯一の文字)という意味を持っています。このような意味を表すのは、한が持っている意味と関わりがあります。한は、中期朝鮮語においても높은것(高いもの)、큰것(大きいもの)、많은것(多いもの)という意味で広く使われていました。15世紀には큰물(大水/洪水)のことを한물、큰비(大雨/豪雨)のことを한비と言っていました。現代語の한숨 (ため息)や한길 (大通り)、 한시름(大きな心配事)の한も同じで큰(大きい)という意味を持つ言葉です。

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