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読者引き込む作品を 在日コリアンの漫画家 鄭大河さん(26) /北海道
毎日新聞 2022.10.04
自作した漫画「カラクリカラ」が2019年の「第97回ストーリー漫画部門手塚賞」で「準入選」になった。札幌市で生まれた在日コリアン。北海道朝鮮学校に通った。幼少期に感じた「生きづらさ」を作品に投影した。
小さなころから絵を描くことが好きだった。漫画を読んでは、自分の「漫画」をつくっていた。子どものときと違ってプロとして活動するいま、明確なこだわりをもって作品と向き合う。「キャラクターの設定や作画の技術はもちろん大事」としつつも「大切にしたいのはテーマ性。作品を通して読者に何を伝えたいのか。日々、問題意識をどのように表現すればよいのかを考えている」と言う。
テーマ性へのこだわりと自身の生い立ちは切り離せない。在日コリアンとして差別を受けたことがある。手塚賞で準入選した「カラクリカラ」の世界は、妖怪と人間が登場し、「醜い妖怪」が人間に疎外されて差別される様が描かれている。「人間はよいところも悪いところもある。それをどのように描き、表せるか。常に模索中」
衝撃を受けた漫画家は水木しげるだ。「登場人物の『外見』をすごく単純に描いていて、人間をバカにしているようにも見える。その反面、背景に描かれている風景はすごく繊細で美しい。その対比が『人間とは何か』を読者に語りかけていた。戦争という悲惨な経験をした水木だからこそ、読者への説得力はすさまじい」と敬意を表す。
現在は雑誌の連載に向けて作品を描く。「社会と照らし合わせて『人間の幸せ』とは何か、自分なりに考えて表現したい」と意気込む。目指すのは「読者が引き込まれる作品」という。
【金将来】