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李晶玉個展「記号の国」/“不自由は魅力的なモチーフ” 、5月17日(月)~5月22日(土)
李晶玉個展「記号の国」
日時:5月17日(月)~5月22日(土)
場所:ギャラリーQ(東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル 3F、TEL03-3535-2524、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅11番出口より徒歩2分、都営浅草線宝町駅A3出口より徒歩4分、東京メトロ銀座線京橋駅駅2番出口より徒歩6分
同胞美術家の李晶玉さんが個展を開く。1948年創刊の美術専門誌「美術手帖」2019年12月号の表紙を飾るほか、グループ展を多数開催してきた。個展としては「『神話#1』eitoeiko」(東京、2018年)に続いて2回目だ。
「美術手帖」2019年12月号の表紙を飾ったおりには、今後の制作活動について「在日美術家として、また一作家として、今後より良い制作ができるよう頑張っていきたい」と抱負を語っていた。
李晶玉個展「記号の国」はギャラリーQで5月17日から5月22日まで。
李晶玉さんによる個展紹介は以下の通り。
「記号の国」はフランスの哲学者ロラン・バルトの著書「『表徴の帝国/記号の国』」から引用している。
今回の展示は新作を含めた 5、 6点からの構成になるが、出品作では、例えば白頭山や漢拏山、スーツとチョゴリと着物、天池、北斎を彷彿とさせるような波の線描による海の絵など、強い象徴性を持ったモチーフを使って作品を構成している。国家や性や民族といった属性と個人の関係についての思考の一環としての作品たちである。個人はどのように、どこまで自由であり得るのか考えている。在日朝鮮人三世、もしくは女性、もしくは平成生まれという世代、それらに回収されない思考や認知は可能であるか。その枠組みを構成している不自由と人間を擦り合わせて摩擦を起こしてみる。この不自由はとても魅力的なモチーフである。
そしてこの『表徴の帝国/記号の国』は、2020年の作品「Olympia2020」の構想中から意識しているテキストである。本書の「中心-都市 空虚の中心」において、バルトは皇居という《空虚な中心》を持つ東京についてこう記している。
「 …この首都は、城壁と壕水と屋根と樹木との不透明な環のまわりに造られているのだが、しかしその中心そのものは、何らかの力を放射するためにそこにあるのではなく、都市のいっさいの動きに空虚な中心点を与えて、動きの循環に永久の迂回を強制するために、そこにあるのである。このようにして、空虚な主体に沿って、非現実的で想像的な世界が迂回してはまた方向を変えながら、循環しつつ広がっているのである。」
空虚な主体を中心に循環するシステムを与えられて活発に動く様、「空虚な中心」という言葉は、東洋-西洋の対比による都市論を超えて、様々な事象への示唆に富むように感じ、本展を構想する上でいくつかの言葉を援用した。