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「在日朝鮮人美術史1945−1962」 美術家たちの表現活動の記録
「在日朝鮮人美術史1945−1962」 美術家たちの表現活動の記録
著者 白凛
- プロローグ
- 序章 『在日朝鮮美術家画集』について
- 第1章 始動のエネルギー
- 第1節 固有の経験の蓄積
- 第2節 固有の経験の合流
- 第2章 何をどのように創造するのか
- 第1節 「民族美術」の探求
- 第2節 巡回展
- 第3章 共通のテーマと写実
- 第1節 討論と制作
- 第2節 展示と手ごたえ
- 第4章 南北分断を異郷の地で乗り越えた「連立展」
- 第1節 開催への道程
- 第2節 芸術家の「統一」を目指した活動の軌跡
- 第3節 和やかな交流とその急速な冷却
- 第4節 まとめ
- 第5章 日本人美術家との接点
- 第1節 個人展の開催と日本の公募展への参加
- 第2節 日本アンデパンダン展への出品
- 第3節 美術を通した文化交流を実現した「日朝友好展」
- 第6章 在日朝鮮人美術史をひもとく語り
- 第1節 手がかり
- 第2節 東京の美術家たち
- 第3節 大阪及び京都、兵庫の美術家たち
- 第4節 まとめ
- エピローグ
- 付録 機関誌『朝鮮美術』解題
- 第1節 1953年と1954年の活動記録
- 第2節 1956年と1959年の活動記録
- 第3節 1961年の活動記録
白凛
東京藝術大学芸術学科卒業後、2020年に東京大学で博士号を取得。美術史研究者。現在、同志社大学所属の独立行政法人日本学術振興会特別研究員PD。2016年に一般社団法人在日コリアン美術作品保存協会を設立し、代表として活動。自身が在日朝鮮人三世という立場から、日本からも朝鮮半島からも見えにくい日本における朝鮮半島出身者の美術活動を研究している。2021年、博士論文を元に『在日朝鮮人美術史1945- 1962 美術家たちの表現活動の記録』(明石書店、2021年)を出版。現在韓国語の翻訳版を準備中である。講演概要国籍ではなく、日本にしか存在しない「朝鮮」籍というカテゴリーは、日本による朝鮮半島の植民地化という歴史的事実を経て、戦後日本に生まれたカテゴリーである。国としての「韓国」とも「朝鮮民主主義人民共和国」とも一致しない、現在の日本にのみある存在としての「朝鮮人」は、複雑な構成要素をもち、それ自体がわかりにくい存在だが、近代 的国家意識のもとに国別に整理・研究されている美術史においては、彼らの美術の歴史はさらに見えにくいものだった。白凛氏は「朝鮮」籍が できた時期からの、見えにくいゆえに隠されてきた美術活動を、美術家たちのインタビューや活動資料の発掘によって解きほぐして行こうとしている。博士論文をもとにした『在日朝鮮人美術史1945-1962美術家たちの表現活動の記録』は、その実態に迫ることができる書籍であり、今回の講演はこの本の内容を元に行われる。