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第60回日・朝友好展
草の根運動で灯を未来へ/横浜で第60回日・朝友好展
《朝鮮新報》2023年05月01日
第60回日・朝友好展が4月25~30日にかけて横浜市民ギャラリーで行われた。友好展には、芸術愛好家72人が135点、児童、生徒、学生189人が193点の作品を出展。初日の夜には、横浜市内の施設でオープニングレセプションが行われた。
日・朝友好展は、日本人と在日コリアンの友好、文化交流を願う市民レベルの展覧会。1960年に神奈川県川崎市で初めて開催され、コロナウィルスの感染拡大に伴い中止となった2020年を除き、73年の第11回展から毎年開催されてきた。
しかし、その道のりは平坦ではなかった。日朝間の複雑な政治情勢の影響を受け、時には開催継続を危ぶむ意見が出たことも。一方、草創期の友好展に携わった1、2世代の多くが鬼籍に入った。こうした幾多の困難に直面しながらも、運営委員たちの熱意と弛まぬ努力によって友好展の歴史は紡がれてきた。
今回は、友好展の初期から参加していた在日朝鮮人1世画家の故・呉炳学さんの遺作、共和国人民芸術家の朴正文画家の油彩画をはじめ、絵画、書芸、写真、彫刻、詩歌、エッセー、工芸など、さまざまな作品が展示された。会場には、「祝・第60回展」とのタイトルが付いた大きな布地が飾られ、そこに運営委員や来場者たちのメッセージが綴られたカードが貼り出された。来場者たちが友好展の歩みを知ることができるように、展示スペースには過去のパンフレットが並べられた。
開催期間には、多くの同胞や日本市民たちが会場を訪れたほか、南朝鮮からの来場者たちもいた。
今回の友好展には、例年と同じく神奈川県知事、横浜市長から祝賀メッセージが寄せられた。
黒岩祐治知事はメッセージを通じて、「文化や民族の違いを超えた市民レベルの協働と連携を進めていくことは、誰もが心豊かに暮らせる多文化共生の地域社会づくりのために、ますます重要」であるとしながら、友好展を通じて「市民同士が互いの文化に触れ合うことで、相互理解がいっそう深まっていくことを期待している」と述べた。
初日のオープニングレセプションでは、朝・日の運営委員や芸術愛好家らが交流を深めた。
運営委員会を代表してあいさつした小泉克弥日本側代表委員は、詩人の韓龍茂さんが60回展に出品した詩歌「祝賀」で綴られているように、さまざまな人たちの思いがあり今日があると60回展の意義について述べたうえで、友好展のさらなる発展に向けた協力を呼びかけた。
つづいて、総聯神奈川県本部の高行秀委員長、日本コリア協会かながわ県連の小黒忠彦事務局長があいさつに立ち、運営委員たちに対して祝福と労いの言葉、朝・日友好への連帯のメッセージを送った。
李武男事務局次長(文芸同神奈川写真部長)の祝杯の音頭で始まったレセプションでは、各部門の出品者らが発言。また文芸同神奈川音楽部・民族アンサンブル集団「MU」の韓椿花さんが朝鮮の民謡などを披露した。
節目となる友好展を迎え、運営委員たちはそれぞれの思いを新たにしていた。
長年にわたり友好展の開催に尽力してきた金奉鉉事務局長(朝鮮側代表委員)は、初期メンバーらの功績を感慨深く回想しながら「60年以上も朝・日が手を携えながら続けてきた展示会は、ここしかない」と強調。「運営委員の高齢化や厳しい政治情勢など懸念は絶えないが、友好の灯火を消すわけにはいかない。朝・日国交正常化と朝鮮半島の統一を願い、これからも在日コリアンと日本市民の間に理解と協力関係を生むための草の根運動を地道に続けていきたい」と力を込めた。