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裾野を広げ、100回展目指す/第58回「日・朝友好展」
《朝鮮新報》2021.06.24
神奈川で2年ぶりに開催
第58回「日・朝友好展」が6月22日から27日にかけて神奈川県の横浜市民ギャラリーで開催されている。
1960年に神奈川県川崎市で初めて開催された同展示会は、朝鮮と日本両国の友好と文化の交流を願う日本市民と在日朝鮮人の芸術家や愛好家たちによって催されてきた。
展示会の開催にあたり、黒岩祐治神奈川県知事からのメッセージも寄せられた。黒岩知事は、神奈川県内に173の国と地域の約22万8千人を超える外国籍の人々が暮らしているとし、「展覧会を通じて市民同士が互いの文化に触れあい、国籍を超えた相互理解がいっそう進むことを期待している」とした。
昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2年ぶりの開催となった展示会の会場には、絵画、書芸、写真、彫刻、詩歌、工芸などさまざまな作品が並んだ。また、県下4つの朝鮮学校と西東京朝鮮第2初中の園児、児童、生徒らの絵画や書芸作品も展示された。
なかでも絵画部門では、呉炳学さんの油彩画「洗濯場」や朴正文さんの「自画像」など、重厚で鮮やかな色彩で表現された作品が来場者たちの目を引きつけた。
コロナ禍乗り越え
1973年の第11回展から毎年行われてきた同展示会は、昨年はコロナ禍の影響で約50年ぶりに中止となった。
約15年前から同展示会の運営に携わる大橋ゆう子さん(運営事務次長)にとって、展示会の中止は初めての経験だった。「気持ちが萎えてしまい、今年の開催も無理なのではないか」(大橋さん)と、コロナ禍の終息を見通すことができないなかで、展示会の開催に異を唱える運営委員も少なくなかったという。
それでも、運営事務局長を務める金奉鉉さんは「中止の状態が続いてしまったら、永遠に開催することはないかもしれない」と、開催を決意。「社会情勢が厳しく、苦しい状況下でも朝・日友好の灯を絶やすことなく展示会の開催を続けてきた先代たちの意思を継ぎ、展示会を継続的に開催することに意義がある」(金さん)。
運営委員たちの熱意にほだされ、芸術家・愛好家たちが多くの作品を出展した。大橋さんは、「すべての作品が主役で見どころだ」と、作品一つ一つに作者の個性が詰まっていると話す。「運営委員の働きかけに多くの人々が協力してくれた。展示会に携わった全員が輪になり、一つになることができて嬉しい」(大橋さん)。
他方で金さんは「運営委員たちの高齢化」が焦眉の問題だとし、「もっと多くの青年たちが展示会に携わってもらえるよう、裾野を広げていきたい」と話した。
コロナ禍を乗り越え、意義深く開催された第58回展示会を弾みに、運営委員たちは第100回展を目指してさらなる発展を誓った。
■第58回「日・朝友好展」6月22(火)~27日(日)、10時~18時、横浜市民ギャラリー3階(JR「桜木町駅」徒歩7分)。
(全基一)